智弁学園・谷口のサヨナラスクイズに涙した父の思いとは
「全国高校野球選手権・1回戦、智弁学園7-6英明」(7日、甲子園球場)
延長十回タイブレークでの決着となりましたが、予想していなかった展開です。僕は奈良大会の番組をやらせてもらっていた関係で、智弁学園の戦いをずっと見てきました。今年は打撃面で、2年前の夏の準優勝の時以上の迫力を感じていたので、打ち勝つのかなと思っていましたが、これが甲子園ですよね。思い通りにいくところではないなと、改めて思った次第です。
期待していた1番の松本選手、2番の山家選手がまさかのノーヒット。ただ、その心臓部を抑えられても粘って勝てたことが次につながるのかなと。試合後に保護者の方も「逆にこの勝ちはでかいよ」と言われてました。打力で勝ってきたチームが、最後は送りバントとスクイズのバント2本で勝ったので、分からないものですよ。
スクイズを決めた谷口君のお父さんにもお会いできました。すごく喜ばれていて、話しながら泣かれていましたね。彼は奈良大会でも、出場がわずか2試合。打席にも立っていないんです。
そういった状況で、息子さんに大会前にはどんな声がけをしていたのかを聞いたんです。「LINEしても既読スルーですわ」と笑われてましたが、その続きがあって。「絶対に土壇場で、甲子園で絶対にお前に出番回ってくるから、その準備だけはしておけ」というようなLINEも送っていたそうですが、本当にその通りになったんですよね。
だから最後のチャンスが回ってきた時には「鳥肌が立ちました」とのことで。「変な文章打ってしまったかな」と思われていた中で、本当に、LINEで送ったような状況が巡ってきて、勝利を導いたわけですから。
既読スルーされていたことも、今となっては「オヤジはうるさいなという感じであっても、そのことを思ってプレーしてくれていたのかな」と涙です。そんな谷口君のお父さん、チーム愛も素晴らしくて。智弁学園のアルプス席には、1年生から3年生の保護者の方によって折られた千羽鶴が飾られていますが、それを運ぶのがお父さんだそうです。
何でも「みんなの思いを僕に運ばせてください」と言って、その役を買って出たとか。最後も「この千羽鶴のおかげです。力を貸してくれたわ」と大事に持っておられて。他にもアルプス席に、智弁のユニホームをかたどったものがあって、そこに繫ぐという意味の「繫」という漢字も書かれているんですが「これでみんなで繫いでくれたと思います」と喜ばれていました。
偶然なんですが、この日の朝には甲子園で僕が、中学時代に谷口くんと同じ神戸中央リトルシニアで友達やった子とかに声をかけられていたんです。不思議な縁と言いますか、ここにも繋がりを感じた一日となりました。
◇ ◇
かみじょうたけし(本名・上条剛志)1977年12月31日生まれ。兵庫県淡路市出身。龍谷大卒。身長170センチ、50キロ。高校野球大好き芸人として知られる。趣味・特技は競輪予想、モノマネ。